2025/6/22
人事部がマーケティングを企業に導入すべき理由
人事部が主導して、事業部へマーケティングを導入すべき理由
今後の企業成長において、私は「マーケティングは専門部署に閉じたものではない」という考えを提唱したいと考えています。
マーケティングは、広告や販促だけにとどまらず、顧客価値を起点に事業を動かす全社的な仕組みであり、本来は企業文化として根付くべきものです。
私は前職で人事部に所属し、全社研修の企画・運営を担当してきました。
その経験から、人事こそが、マーケティングの全社導入を主導するべきだと強く感じています。
理由は、以下の3つです。
① 人事は「全社の横串」で動ける唯一の部署
マーケティングで成果を出すには、個々の専門性も重要ですが、それは企業側の論理です。
顧客は、企業の組織構造や担当部署を意識して行動していません。
顧客にとって重要なのは、一貫した顧客体験(CX)です。
SNS、EC、実店舗、カスタマーサポートと、あらゆる接点を横断しながら、顧客は企業を評価します。
しかし、多くの企業では「隣の部署が何をしているのか分からない」状態が続いています。
部署ごとの縦割りが、顧客体験の分断を生み、ブランド価値を毀損しているケースも少なくありません。
このような壁を超えて全社横断で働きかけができるのは、人事部しかないと私は考えます。
② 「人的資本経営」時代の中核はマーケティング思考
人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大化することで、企業価値を向上させる経営スタイルです。
その中で重要なのが、「顧客に価値を届ける人材をどう育てるか」です。
ここにこそ、マーケティングの思考が欠かせません。
マーケティングの本質は、顧客のニーズを理解し、何に価値を感じていただけるかを考え続けること。
これは人材の育成や、働き方の設計にも直結します。
顧客に対して、より価値高く製品やサービスを届けることができる人材こそ、企業価値を高める「資本」そのものです。
人事がマーケティングを企業に浸透させることは、まさに人的資本経営の実現に繋がると私は考えます。
③ 顧客視点の欠如は、企業停滞の大きな原因になる
日本企業は元々、顧客視点を大切にしてきたと私は思います。
しかし、過去の市場環境の変化によって、その視点が一時的に失われた時期がありました。
製品の品質が成熟し、「どのメーカーも一定以上のクオリティ」「デザインも似通っている」という市場のコモディティ化が進む中で、企業は販売効率・スペック競争に偏重した時代を経験しました。
しかし、今再び、顧客体験そのものが企業価値の源泉であると見直されています。
顧客が求めているのは、商品そのものだけではなく、購入前・購入後を含めた「一連の体験」です。
にもかかわらず、マーケティングが「販促・広告部門」のイメージにとどまっている企業はまだ多く、ここに私は課題を感じています。
これからの企業に必要なのは、「顧客の声を聞くこと」や「顧客起点で考えること」を文化として根付かせることです。
顧客の声を全社で可視化し、共有する仕組みを構築し、経営とマーケティングを強く結びつけることが、今後の持続的成長に不可欠だと考えます。